アルバム(2)

肩枕

 

詩: 椎由怜太
曲: 米島 勉

 

居酒屋の カウンター
お前と 二人
久しぶりだね
こんなふうに 笑いながら
酒を飲み 言葉少なに
穏やかに時が 流れる

寄り添って 肩枕 
そんな お前の
仕草がとても 
愛しくて 愛らしくて
酒を飲み 目と目が合えば
ただ訳もなく 笑って

 

お前がいつの日か
俺のそばから
いなくなるような
そんな気がして
今のこんな幸せにさえ
心が震える

好きだよと 一言が
何故か 言えずに
お前の横顔 見つめては
恥ずかしくて
酒を飲み 世間話しで
俺の心を ごまかした

 

僕のフルート

 

 

詩: 椎由怜太
曲: 米島 勉

 

君のピアノに遅れないように
僕のフルートが後追いかける
覚えたての指が動かずに
横で娘がクスリと笑う

間違えてもそこで止まらずに
先へ進んだほうがいいと言うけど
今度こそはうまくやるからと
結局最初からやり直し

それでも何とかフィーネにたどり着いて
ちょっと長く伸び過ぎたフェルマータ
汗だくの顔に笑みが戻り
娘の笑顔に瓜二つ

 

部屋の中に響き渡る
笑い声にいつの間にか
時を忘れて過ごす一日
僕と君と娘が二人

楽譜どうりに指を動かして
五線の間を飛び跳ねるうちに
多くの記号に振り回されて
自分を見失うこともある

 

そよ風の子守唄

 

 

そよ風がカーテンを揺らして通りすぎた
君の目の前をふわりと通りすぎていった
それは君の眠りがやさしすぎて
通りすがりの風のやきもち
何でもないよと風がささやく
もう一度目を閉じておやすみなさい

そよ風に運ばれて君はどこへ行くの
遠い未来を見つめるうちに心が溶けて流れる
だけど君はいつまでも変わらない
女の子でいてほしいから
空が青いことの幸せを
心に刻んでおやすみなさい

 

長い長い旅路を強く生きてほしい
たとえ君の心がどんなに疲れていても
素直な心をいつまでも大切に
忘れないで生きてほしい

そよ風の子守唄、ボナール色の昼下がり
時の流れ、大地の音が聞こえたような気がする
おだやかな日差しの中に流れる
鳥の声、時計のリズム
幼い頃の思い出だけは
心にしまっておやすみなさい

 

子供の庭

 

ほら見てごらん 子供たちが遊ぶ
裸足になって ジャングルジムを飛び回る
青いお空に白い雲が流れる
ブランコの順番 ほらほら喧嘩しちゃだめだよ
滑り台に飽きてきたら もうそろそろお家へ帰ろう
もうすぐ日が暮れる ごはんも待っているよ
ママも心配するから

 

お風呂の後で 大きなあくび一つ
絵本を閉じてママの胸でおやすみ
夢の中の子供の庭に集まれ
お伽の世界から愉快な仲間たち 集まれ
みんなでどんな遊びをするの
魔法の杖の鈴を鳴らして
明日目が覚めたら教えてくれますか
それとも君だけの秘密

 

 

きらめく夕凪 果てしなく 広がる
この海より大きな愛であなたを包んであげたい

あなたの優しいささやきが聞こえる
どんなに遠く離れていても あなたの声が聞こえる

二人のこの道は 二つに分かれて
それぞれの道を歩き始めたけれど
いつかは必ず一つに戻ることを信じて
その声が導く方へ 歩いて行こう

 

あなたに会いたい 今すぐに会いたい
今の私の想いのすべてを あなたに伝えたいから

ああ この道を行けば きっとあなたに会える
信じることが二人の愛のたった一つの証だから
愛は迷路のようにいくつもの道に分かれ
確かな道は一つだけ 愛を信じること

 

早春

 

窓を少しだけ 開けてみました
冷たい風に 思わずヒンヤリ
部屋の外は まだまだ冬です
あわてて窓を 閉めました

ガラスに映る 私の顔は
どこといって 取りえもなく
笑った顔が 少しはましだと
笑った後で ためいき

春はもうそこまで 来ているのに
私の心は なぜか寂しい
外に出るのもできない弱虫

 

鼻の上に ニキビが一つ
想い想われ どっちだろう
どうにもならないことは分かるけど
もう少しきれいになれたら

こんな私にも 誰か好きになって
くれる人がいるかもしれない
春が来るのを待っているのは
お花だけではありません

春はもうそこまで 来ているのに
私の心は なぜか寂しい
外に出るのもできない弱虫