エピローグ

木蓮の花が咲いているわと 君が指差す
それまでは二人 言葉を忘れて
歩いていた矢先のひと言
それが君の最後のさよならに変わった

それから突然 二つの影が遠くに離れる
声にならない呼び止める声が
聞こえたのは僕だけだろうか
君は急ぎ足で 振り返ることもない

雨の糸にもつれながら 立ちすくむ僕の姿
そこで物語は終わるけど
エピローグが書けないまま二年が過ぎた
エピローグが書けないまま二年が過ぎた

後から思えばあの時の君は 苦しさに耐え切れず
僕にすべての成り行きをまかせて
泣いていたのかもしれない
君が嫁いだのは その年の秋のこと

少しだけの勇気があれば 止めることもできたのに
そして何もかもがうまく行くのに
エピローグが書けないまま二年が過ぎた
エピローグが書けないまま二年が過ぎた

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