
君のピアノに遅れないように
僕のフルートが後追いかける
覚えたての指が動かずに
横で娘がクスリと笑う
間違えてもそこで止まらずに
先へ進んだほうがいいと言うけど
今度こそはうまくやるからと
結局最初からやり直し
それでも何とかフィーネにたどり着いて
ちょっと長く伸び過ぎたフェルマータ
汗だくの顔に笑みが戻り
娘の笑顔に瓜二つ
部屋の中に響き渡る
笑い声にいつの間にか
時を忘れて過ごす一日
僕と君と娘が二人
楽譜どうりに指を動かして
五線の間を飛び跳ねるうちに
多くの記号に振り回されて
自分を見失うこともある